私の備忘録

少しでもずる賢く生きるために

ニュートン別冊「バイアスの心理学」を読んで

ニュートン別冊を読んで目から鱗の事だらけだったので一部紹介したい。

 

「バイアスの心理学」



バイアス=偏り

であり、近年「認知バイアス」という言葉をよく耳にする

「認知」とは知覚、記憶、思考などをさし、認知バイアスはこれらの記憶や思考などの偏りやゆがみで、考え方のクセといわれている。

このようなバイアスは無意識下に誰にでも存在している。

すばやい判断や心の安定に必要な場合もあり、必ずしも悪いものではない。しかし極端な偏りは命にかかわるほか、差別や偏見といった問題につながる。

 

その人の思考や思想は18歳までに身につけた偏見であるとか、どこかの偉そうな哲学者が言っていた気がするけど

今ではこの認知バイアスによって科学的に説明できることに感動した。

 

「外集団同質性バイアス」

自分が属している集団=内集団

については多様な人物がいると思い、それぞれを区別して認識することが出来る

他方で自分が属していない集団=外集団

についてはその集団の人々は画一的に見えてしまう

というバイアス

 

例えば映画なんかがそれである。

日本人しかでない邦画であれば、たとえ知らない俳優が演じていても、登場人物の区別は容易に判断がつくが、

洋画で登場人物が同じような格好をしているような場合は区別が難しくなる。

また、サッカーの国際試合なんかでも自国の選手は顔の判別がつくが、相手国の選手の顔の判別は難しく、背番号で判断するような事がこれあたる。

 

自分は戦争映画が好きで、ブラックホークダウン、バンドオブブラザース、プライベートライアンなど見たが、軍服を着た外国人の区別は困難で、何度か繰り返し見ることで、ようやく区別することが出来た。

ひょっとすると、自分は人の顔を覚えることが苦手なのかと若干のコンプレックスを抱いていたが、このバイアスによって仕方がないものと説明された気がして、心が軽くなった。

 

「集団への同調」「少数派への同調」

日本はよく同調圧力が強いと言われがちである。

例えば、会社で定時になり、自分の仕事も終わったのに、周りが帰らないから帰れないとか

行列のあるラーメン店に行きたくなるとか

これが集団への同調である。

人間は社会性を重んじる動物であるからこそ、集団から逸脱することに恐れやすいことからこのバイアスがあるという。

他方で、少数派であっても同調するという。

ブルーグリーンパラダイム実験のなかで、3人の被験者に同時に様々な色相の青いスライドを見せ、何色かを判断する実験を行った。そのなかで、わざと緑と答えるサクラを用意した結果、サクラが一貫して緑と答えると、何も知らされていない被験者も徐々に緑と答えるようになった。このように少数派でも一貫性がある場合は少数派へ同調してしまうというバイアス。

 

結局のところ、意志の弱さや、他者への依存度が高い場合は集団や少数派に同調しやすいということらしい。

実生活でもこのバイアスに気をつけながら考え、行動しないと、自分の考えが、他者に依存してしまうと思うとゾッとしてしまう。

 

バイアスは人間が長い歴史の中で培ってきた能力である一方で、本質的な考えや思想が見えにくくなってしまう諸刃の剣だと感じた。

このようなたくさんあるバイアスを知っておくことで、今自分にバイアスがかかっているなとか、あの人はバイアスがかかって判断が曇ってしまったとか、推察できるのかもしれない。

 

自分の行動や思想に何かしらの説明がつかないとき、このバイアスが原因なのかもしれない。

そう考える事で、少し気持ちが楽になる気がしている。