ハンコについて疑う
世の中の普通に問題提起する。
ごく当たり前のように思われている事について
当たり前だと右から左に流すか
少し立ち止まって疑ってみるか
この選択の如何で物事が全く違う見え方をする。
ハンコについて疑う
役所の手続きなどで印鑑廃止の流れが出来あがって
民間企業でも廃止の一大ムーブメントがあったのは記憶に新しい。
自分が属している会社でもそのムーブメントはやってきたが、やはり一定数の社員は従来通りハンコを押さなければ、顧客に何か言われるかもしれない
と疑心暗鬼になり、事なかれ主義の現状維持が多数派である。
少数派の私は、自分が発行する書類は基本的にはハンコを押さないとルールを設けた。
弊社は化学物質を取扱う企業であり、顧客から弊社製品の化学物質調査の依頼が相当数ある。なぜか経理という立場ながら、その職務を遂行する人材がいないため、私がその調査及び、報告書を作成している。
先日、顧客からいつものように化学物質調査の依頼があった。
文系出身の私でも、数多くの化学式を目にしてきたため、今ではアレルギーもなく素早く対処できる。
しかし、顧客の依頼は小さな矛盾が生じていた。
・回答書はPDFでほしい。
・回答書に電子ではない実物のハンコ(シャチハタ可)を押してほしい。
デジタルとアナログの融合というか、ハイブリッドというか。
一度印刷して、ハンコを押して、スキャンでPDFにするという手間作業だ。
全くもって無駄とすぐに判断。
顧客には弊社ルールにより押印の必要がないことを説明し、しぶしぶ納得してもらったが、こうした顧客、弊社社員は一定数いる。
そもそもハンコの有無での差が一体何なのか考えてみる。
金融機関に勤めていた際のハンコは何よりも重要であった。
銀行口座を開設する際、身分証明書と共にハンコの印影の届出が必須だ。
これは共通印鑑届という届出書類で銀行は金庫に大切に保管する。
この印影と持参したハンコが一致するかでやっと払戻し等の取引が出来る。
自動車などを購入する際も印鑑証明書が必要となる。
これも先に自治体にハンコの印影を届出し、契約書に押印された印影と印鑑証明書の印影が一致するかで本人であることを特定し担保する。
もちろん法人の場合でも同様である。
どちらも、先に届出をしている事が前提の仕組みである。
さて、では今回の件に話を落とし込んでみる。
・回答書に電子ではない実物のハンコ(シャチハタ可)を押してほしい。
なるほど、弊社の正式な書類であることを担保したいのだな。
だとすれば、これだけでは弊社が本当に存在するかの保証は出来ない。
そもそも全く違う法人の印鑑で押印してもいいくらいだ。
印鑑証明書も同送してほしい。
と要求されれば、この押印は意味をなすが、証明できないのに押印する必要もない。
ハンコがあれば正式(体裁が良くなる)な書類になる
そう考えている人がたくさんいるのだな、そう感じた出来事であった。
当たり前のように会社印(シャチハタ)を押して見積書を提出している社員に懇切丁寧に説明しても
「理解は出来るが、かっこが悪い」と言われてしまう始末である。
なんだかなー。