私の備忘録

少しでもずる賢く生きるために

住宅ローンと金利について

社会人になって10年程度が過ぎ、会社でも中堅の立場となってきた。新入社員などの教育をする場面も増えてきた。しかしながら、新入社員の多くは学生から急に社会に出て、お金にまつわる事(税金、保険、給料)についてほとんど無知である。自分の体験から、(備忘録もかねて)少しでもずる賢く生きるために知ってほしいことを伝えていきたい。

元銀行員のキャリアを活かせるかどうかは不明だが、お金に関する事について少しでも知る機会になればうれしく思う。

 

10月に入ってから次第に保険控除書類、住宅ローン残高証明書など年末調整に関する書類が届き出した。

銀行員1年目の時に住宅ローンに関する仕事に携わっており、住宅ローンの年末残高証明書の再発行も経験した。書類の発行は銀行にもよるけれども、よっぽど専門部署で発行しており、支店ではごく稀に再発行の依頼があるというものである。

が、思いのほか年末が近づくにつれて皆再発行の連絡をしてくる。大切な書類を捨ててしまう人が多いことに驚いた。

また、固定金利の期間満了の連絡があった債務者が来店し、変動金利か固定金利を再度選択するのかの相談に対応することも多々あった。そんな業務をする中で感じたことを伝えていきたい。

 

今回のテーマは住宅ローンとその金利について

 

・住宅ローン

住宅ローンは誰が利用するものか。

マンション、建売住宅、土地、建物を購入する際に、元手がない人が利用するものである。審査はベルトコンベアのように流れていく。年齢(完済までの期間)、勤務先(支払い原資)、購入する物件(担保)など審査していく。

銀行からすれば簡単な審査で融資ができる美味しい商品である。銀行は定期的にお金が入ってくることで運用計画が立てやすくなるメリットがある。債務者の返済は銀行からすれば収入という事。

住宅ローンが他のいわゆる借金と異なる点の一つに、団体信用生命保険がある。

債務者が返済期間中に死亡、高度障害に陥った場合、ローン残債を返済する必要がなくなる。私は絶賛住宅ローン返済中だが、この団体信用生命保険のためにローンを組んだようなものだ。

この保険のメリットとしては、特にお金を払わなくても住宅ローンを組む際には必ずついてくること。今では金利に0.3〜0.5%程度上乗せすれば、ガン特約など付加できる。

ガンが見つかればローンを払わなくて済むのである。

 

多くの人が20代から40代の若年層で住宅ローンを組む。定年退職まで万が一があっても残された家族などが債務を肩代わりする事なく、家に住む事ができる。債務者からすると、これほど安心できる保険はないように思う。

 

・住宅ローン金利

住宅ローン金利は債務者の悩みの一つだと思う。

金利が低い銀行を探したり、固定金利を選択するか、変動金利を選択するか、返済期間が長い分、その選択が今後の生活に直結してくるため、及び腰になるのも理解できる。

ここで、固定金利、変動金利の違いについて要点をまとめたい。

 

固定金利

・選択した期間(3年、5年、10年など)は金利は変わらない

長期金利に連動する

変動金利

・半年ごとに金利を見直しする

短期金利に連動する

 

一般的に固定金利の方が変動金利よりも高い。

さらに固定金利と変動金利を比べると、固定金利の方が上昇下降が激しい。

自分が銀行に勤めていたときの金利推移票でも過去10年間で変動金利は微動だにせず動いていなかった。

 

なぜなのか?

 

固定金利長期金利に連動し、変動金利短期金利に連動する

からである。

 

固定金利日経新聞のマーケット欄にも掲載されていて毎日値動きする。

これは世の中の景気に敏感に反応し、景気が良ければ上昇し、悪ければ下降する。

対して、短期金利は銀行など金融機関が日銀から資金を調達する際の金利である。

我が国は長く、不景気であり失われた30年とも呼ばれ、資金需要が低い。

会社や個人は銀行から借入れなどせずに、設備投資なども消極的であるから、日銀はこの金利をなるべく低く抑えて、借入れを促し、市中に資金が循環してほしいのである。

 

この状況が続く限り、変動金利は変動することなく、低い水準を維持し続けるだろう。

 

また、日々のニュースで日経平均株価などのマーケット指数はよく耳にするが、長期金利についてはどうだろうか。

あまり気にしてない人が多いのではないだろうか。私が銀行に勤めていて、住宅ローンの相談に来た利用者は全く気にしていなかった。

反対に、短期金利が上昇するなどの政策が日銀から発表されれば、それこそ嫌でもニュースになるはずだ。

 

もしそのような報道があった際に、慎重に固定金利に変えるのか、変動金利のままでいるのかを選択するので、全く遅くはない。

 

長く文章を書いてきたが、

結局の所、借入する人の精神的状況、経済状況など総合的に判断したうえで、どちらにするのか選択するのがいい。

どちらを選んでも正解なのだから。